じゅころぐAR

ARのブログ

Tangoのサポート終了について考える

発売当初からのTangoユーザとしてポエム書きました。

はじめに

ご存知の通り、GoogleがTangoのサポート終了日を告知しました。初めてのサポート端末Phab2 Proが発売されてからわずか1年しか経っておらず、Tangoが推進するARに将来性を感じていた身としては一歩後退という感じがして、残念でなりません。

ARCoreが発表された時点でTango終了は既定路線だったので別によいですが、サポート終了とあわせて発表されたARCore Preview 2がTangoの機能には遠く及ばない(にも関わらずTangoを終了した)ということの方が意味が大きいです。
Tangoで開発したかったユーザからすると開発期間の断絶が発生していて、ARCoreで継続できるかわからないということ。

何故、Tangoは終了したのだろう?

Googleの発表を見ても、はっきりとしたところはわかりません。
5月のGoogle I/O 2017まではTango終了の兆しはなかったですし、VPS(Visual Positioning System)をTangoベースで構築していくことを発表していました。

唯一の理由らしき文言は、より幅広いデバイスで対応できるよう、特別なセンサなしで使えるARCoreに移行するとのことですが、ARCoreが対応しているのは発表から3ヶ月経った時点でPixelとGalaxyのシリーズのみ。しかも、Android 7.0以降のハイエンド端末しか対応していない点から普及には時間がかかりそうで、言動がチグハグな印象も受けます。
唐突な幕引きには、Google Glassのときと既視感を感じますね。

あくまで想像ですけど、GoogleのフラッグシップモデルであるPixel2にTangoが搭載されなかった(もしくはできなかった)ことが全てを物語っているような気もします。ARCoreを発表した9月の時点でPixel2のデザインは固まっているはずで、そこにTangoに必要なセンサが付いていないとなると、Pixelの開発とTangoプロジェクトが同時に進めない問題を何か抱えてたのかな?とか、Pixel2でも実現できるプラットフォームにしたのかな?とか。
ちなみに、ARCoreの発表直後にPixelの開発に携わっているHTCのスマートフォン事業を買収しているので関係がないとも言い切れない。

いずれにせよ、外部にいる開発者には理由を想像することしかできず、若干モヤモヤした形でTangoは終了となりました。

ARCore、ARKitはTangoの代わりとなるのか?

Tangoの特徴は位置情報を復元できるエリア・ラーニング、高精度のPoint Couldを利用したAPIだと思っています。
Tangoのサポート終了告知と同時にARCoreのPreview 2が発表されましたが、どちらも今のARCoreでは機能提供されておらず、独自の実装でも実現が難しそうです。

ARKitに関しても、True Depthカメラが背面に付いていないと利用は難しいと思っています。iPhone Xは何故か前面にだけ付いていて、画面を見ながら周囲の情報を得ることができない・・・。

個人的な予想では、どちらにも背面にデプスカメラが付くと思っていたのですが、 結果はどちらも見送り。少なくとも次のモデルチェンジ(一年後)までTango相当の機能はお預けになりました。GoogleはZenfone ARでできるだろ!と思いつつも、たぶんやらないでしょう。
ただ、次期iPhone、次期Pixelには背面にTrue Depthカメラが付く可能性も高い(願望込み)と思っていて、そのタイミングでARKit、ARCoreがアップデートされ、Tangoのノウハウは活かせるんじゃないかと期待しています。

仮に同じタイミングでPixelとiPhoneに機能が搭載されたら日本国内ではiPhoneを使うユーザの方が多いでしょうし、今となっては次期iPhoneの方が採用される期待値が高いように思います。
Tangoからの流れとしては、ARCoreではなくARKitをやっておくのが得策かもしれません。

ARクラウドにも期待

エリア・ラーニングに必要な点群(PointCloud)をクラウドデータベース化して共有するVPS(Visual Positioning System)という仕組みですが、TangoからARCoreへの移行と併せて開発が中止もしくは延期したみたいです。

この辺りの技術はARクラウドと呼ばれているようで、Appleも開発を進めているらしい。
ARクラウドに関しては、こちらの記事がよくまとまっている上に情報量が多くてわかりやすいです。 www.moguravr.com

GPSの測位精度が落ちる屋内でも正確な位置を復元できるため、ARコンテンツを永続的にその場所に表示できるようになります。
広告やナビゲーションなどの実用系コンテンツ、位置ゲーなどでARを導入しやすくなるため、普及が期待できそうな気がしています。

おわりに

Tangoは終わるけどARの普及はこれからだし、来年以降にきっと実現するであろう機能を先取りできたと思えば、まあいいかな。(と思うしかない)
とはいえ、Tangoに魅力を感じてARを始めた身として今のARCoreでやりたいことは多くないので、AR以外のところもちょいちょいやっていきます。

最後にTangoへの無念を込めて、Tangoで作ったデモ達を供養しておきます。
クエリちゃん率高し。

ボール投げたらぶつかる

ボールじゃなくてクエリちゃん!

点群データが取れる

ARKit、ARCoreはマーカー検知できないんですよね

困った時のマーカー検知。あってもいいと思うんですけど。

壁検知もできないですね

ARモグラ叩き的なやつ。Tangoだと超簡単に作れます。

キャラクターが現実世界を歩き回る

クエリちゃんズ!もARCore版は難しいですね。

送り火

Tangoよ、安らかに眠れ。